1.か強診とは?
「か強診」とは“かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所”のことで、厚生労働省が管轄となり2016年にスタートした新制度です。口腔機能の維持・改善をすることによって国民の健康寿命を延ばし、生活の質の改善を図ることを目標にしています。
●か強診と一般的な歯科医院のちがい
か強診はどの歯科医院でも認定されるものではありません。厚生労働省が出している施設基準をすべてクリアした歯科医院だけが“か強診”を名乗ることができます。
その内容は、歯科治療の実績、高齢者の心身や緊急時の対応などの確かな知識があること、緊急時に他の医療機関に送患・紹介できること、衛生面や安全・安心を提供する器具・装置があること、など多岐にわたります。
<施設基準の例(一部)>
- 医療安全対策や高齢者の口腔機能管理に関する研修を受けた常勤の歯科医師がいること
- 歯科医師が複数名、または、歯科衛生士が1名以上在籍していること
- 偶発症など緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の体制が確保されていること
- 歯を削ったり入れ歯を調整した時に発生する細かな飛散物を吸引する歯科用吸引装置などが診察台ごとにあること
- 患者さんにとって安全・安心な医療を提供するため、次の装置・器具を有していること
- 自動体外式除細動器(AED)
- 経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
- 酸素供給装置
- 血圧計
- 救急蘇生セット
- 歯科用吸引装置
2017年4月時点でのか強診の届出数は全国の歯科医院数のわずか1割程度です。施設基準をすべてクリアするのは容易なことではありません。しかし、か強診の認定を受けることで子どもから高齢者まですべての患者さんがより安心・安全な歯科医療を受けることができるようになるのであれば、それは私たち歯科医療従事者にとっても幸せなことです。今後、か強診の認定を受ける歯科医院が増えていくことを願っています。
2.「予防歯科」として利用しやすい歯科医院
か強診である歯科医院は、一般の歯科医院と保険適用の条件が異なっていたり、人員配置・設備の面が優れています。そのため、患者さんにとって予防歯科として利用しやすいというメリットがあります。
①エナメル質初期う蝕管理
歯にフッ素を塗布する治療のことです。フッ素を塗布することにより、歯質を強くし虫歯に負けない歯をつくります。また、初期虫歯を治したり、虫歯菌の活動を抑制する効果もあります。
フッ素塗布は保険適用の治療ですが、一般的な歯科医院では一度治療をすると3ヶ月以上の期間を空けないと再び保険適用で治療することができません。しかし、か強診である歯科医院では毎月保険適用で治療が可能となります。
②歯周病の安定期治療
歯周病の治療後、再発防止のために定期的に歯のクリーニング(歯垢・歯石・着色汚れの除去)を行う治療です。
こちらもフッ素塗布と同様に、一般的な歯科医院では一度治療をすると3ヶ月以上の期間を空けないと再び保険適用で治療することができません。しかし、か強診である歯科医院では毎月保険適用で治療が可能となります。
③人員配置や設備の充実した歯科医院であること
か強診として厚生労働省から認可を受ける際の施設基準に、人員配置や設備が充実していることが含まれています。
人員配置が充実していることは、緊急の事態にも手分けして対応できることを意味しています。
また、設備の充実には、滅菌・消毒のための設備があり衛生面で安心ができる、感染症を持つ患者さんが治療を望む場合に適切に応じることができる、自動体外式除細動器(AED)や救急蘇生セットなどがあり治療中以外でも万が一の事態に対応ができることを意味しています。
予防歯科は一生涯を通して患者さんの口腔の健康を見守る場です。患者さんに安心・安全な場を提供していきたいと思っております。